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オフィスデザイン設計

  • Services
    • UX・UI デザイン
  • Client
    sdtech Inc.
  • Annual
    2020
OUTLINE エスディーテックは在宅勤務の導入に伴い、オフィスを2フロアから1フロアに削減し、新しい働き方に合わせてオフィス全体をアップデートしました。 レイアウト設計にあたっては社員有志が検討チームを立ち上げ議論を重ね、実際に部屋の仕切りや什器を動かしながら試行錯誤。現場から要望の多かった機能的なフリーアドレス作業デスク、1人会議用のフォンブース、息抜きしやすいカフェスペースなど、様々なアイデアが盛り込まれています。 また本プロジェクトでは、チーム会議やアイデア出しをオンラインで実施。オンラインホワイトボードを活用し、メンバー全員で意見を出し合いディスカッションを重ねながら進めていきました。 検討過程は「人間中心設計」。「利用状況の把握と明示」から始まり、ペルソナやシナリオ、プロトタイピングやユーザー評価までもが出てくる、エスディーテック流のオフィスデザインプロセスをご紹介します。 人間中心設計に基づいたプロセスの実施 1.現状の問題点把握 まず労働環境の問題点を明確にするために、チームメンバーで ”出社した場合”・”在宅勤務の場合”に分け、それぞれの良い点・悪い点を書き出していきました。4領域における社員の所感と、労働環境に対する問題点を要約。 出社した場合の問題点として、従来のオープンフラットのオフィス空間では「周囲の音が気になり集中できない時がある」といった点が主に挙げられ、在宅勤務の場合は「コミュニケーションが取り辛い」「集中力が続かない」「オフィスでしかできない業務がある」といった問題点が多く挙げられました。   2.新オフィスに求めるニーズの抽出 全員がオフィスに出社する従来のオフィスと、在宅勤務が基本となり個人が自宅で働く時のオフィスとでは、その役割が大きく変わってきます。 新オフィスのあるべき形をユーザー目線で考え、「1. 現状の問題点把握」で得た問題点を改善できるオフィス機能として「〇〇できる職場」という形でユーザー体験の案出しを実施。 これらを「オフィスでの理想の行動」として8つに集約し、エスディーテック社員が理想とするオフィスへの要求事項を明示しました。具体的には、以下のような理想の行動が出てきました。 【例1】幅広いコミュニケーションが取れる職場 在宅時、オンライン上だけでは圧倒的にコミュニケーションが不足している。オフィシャル/カジュアル両方のコミュニケーションが取りやすいことで業務効率化・モチベーションアップにも繋がる。 【例2】クリエイティブ面を活性化できる職場 アイデア出し・ブレストといった集団作業は実際に集まった方が活性化しやすく効果的。アイデアが始まる場所として考えの共有・発散ができるようにする。 【例3】メリハリある活動ができる職場 在宅で問題なくできる業務は在宅で完結する。オフィスに出社する時は、「目的」がある。生産性を高めるにはON/OFFの切替が大事。   3.アイデアの具体化と機能優先度検討 次は具体的なアイデアへ展開していきます。「2. 新オフィスに求めるニーズの抽出」で得た「オフィスでの理想の行動」と、オフィスを構成する要素(設備・文化・システムといった7項目)を掛け合わせ、強制発想法でアイデア出しを実施。 メンバーで議論を重ねながら、どのように実現していけるかアイデアを具体化していきます。 また、オフィスへの要求事項は定まってきましたが、限られたワンフロアにおける各ボリューム・優先順位を探る必要がありました。そこで、「オフィスでの理想の行動」を ・集団行動(ミーティング・ワークショップなど) ・集中できるワークスペース ・カジュアルコミュニケーション ・プロモーション の4点に要約。ユーザーの求める要求事項の優先度を、ユーザーである社員全員の投票によって定めました。 これらの理想の行動・機能アイデア・現場の優先度から、新オフィスではチームワークやコミュニケーションにフォーカスした場作りが重要とし、「集まることで加速する」をコンセプトとして設定しました。   4.アイディアの可視化 これまでの成果物をもとに図面を起こしていきます。人の流れを意識してワーキングエリアを設計し、具現化されたアイデアを各所に落とし込みます。 ここで図面作成と合わせて、ターゲットユーザーである当社社員をペルソナとし、アイデアを可視化したストーリーボードを作成しました。新しいオフィスでユーザーがどういった体験ができるのか、どのようにコンセプトを実現していくのかが明らかになり、図面・アイデアのブラッシュアップや関係者への理解促進へと繋げていきます。   5.プロトタイプによるユーザービリティ評価 検討中の内容でユーザー要求を本当に満たせるのか、使い勝手に問題はないか、机上だけでは判断が難しいものです。施工に関わるものだと後戻りが難しくなります。 そこで、図面をブラッシュアップしていく段階で検証したい評価項目を挙げ、必要な部分をプロトタイプとして再現。DIYで作成した仮オフィス空間を実際に使用してもらい、ユーザビリティ評価を実施しました。 また、チームメンバーでストーリーボードの内容をロールプレイし、自らユーザーになりきってストーリーに沿った体験を再現できるか検証。 紙面だけでは気付けなかった、実際に利用する際に生じた課題点について改善していきます。 【課題例1】チーム会議が隣り合うと思った以上に互いの存在が気になる 【改善案】目線がぶつからないように共有ディスプレイの配置を工夫し、隣り合うテーブルの間にパーティションとしてホワイトボードを設置 【課題例2】個人作業スペースでは2,3名で作業する場合もあるため、パーティションが無い席も欲しい 【改善案】パーティションの無い個人席を設置 評価・検証で得られた改善点をプロトタイプに反映し、検証を繰り返して利用時品質を高めていきます。   完成した新オフィス 「集まることで加速する」をコンセプトとして、まずチームミーティングなどの集団作業が行いやすいスペースを中央に広く配置。講演会や社内のイベント開催時にも活用できるよう、フレキシブルなオープンオフィスではいつでもアイデア出しやブレストができるように、壁など各所にホワイトボードを設置しました。 多様なコミュニケーションが生まれるきっかけとなるよう、立ち作業可能なハイテーブルやカフェスペース、小上がりの場をつくりました。個人作業スペースやフリーアドレスなど、目的に応じた働き方ができるようになっています。 様々なアイデアを盛り込んだオフィスの一部をご紹介します。
中央のミーティングスペースには、会議を進めやすいようテーブルごとにモニターとホワイトボードを設置。オープンな空間とすることで社内の雰囲気を活発化させ、情報共有にも繋がります。 奥には、電話応答や単独でのweb会議参加時のためにPhone Boothも設置。周囲の音を気にせず会議に集中できます。
気軽に集まれる場所として、オフィスの奥へ進む導線の途中にハイテーブルを配置。短時間ミーティングや気分を変えて立ち作業も可能です。
オフィスの奥にある個人作業スペースは、集中力を高めるためパーティションを設置。作業効率化のためディスプレイも2台ずつ設置しています。
カジュアルに集まれる小上がりスペース。柔軟性あるスタイルで、コミュニケーションや発想力を高めます。モニターも配置しているので会議スペースとしての活用はもちろん、息抜きにも。
お客様を交えたミーティングやワークショップも実施可能な会議室。壁側はホワイトボードになっており、アイデアを広く書き広げることができます。
VRやドライブシミュレーションなど、作ったものを試せるlaboratory。オフィス再構築に合わせて各会議室名も一新。部屋名のアイデアは社員から募り、全33件の応募から1案を採用、社内でデザインして取り付けました。
リニューアル後現在、実際に使用している社員からは、 といった声が挙がってきています。 今回、新しいオフィスを”作る”というプロセスで、エスディーテックが大事にしている人間中心設計の考え方を紹介しました。 在宅勤務による影響を加味し、多様なスタイル・ニーズを受け止められるよう、変化する状況に合わせて今後もオフィスの在り方を探求していきます。